今週は、重要度の高い経済指標の発表が少ない。そんな中、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、ワイオミング州ジャクソンホールでの26日の講演に注目が集まっている。QE3に関する発言の可否である。昨年バーナンキ議長は、ジャクソンホールで行われた同じ連邦準備制度の年次シンポジウムで、量的緩和第2弾(QE2)の実施を示唆した。その後、米S&P500種株価指数は28%上昇し、今年4月29日には3年ぶりの高値に達した経緯がある。
現状では、米国の主要な経済指標の弱い結果が続き、米景気の低迷を示すとともに、世界経済の減速を背景とした投資家のリスク回避姿勢が長期化するリスクが高まっている。8月9日の連邦公開市場委員会(FOMC)でも、少なくとも2013年半ばまで政策金利をゼロ付近に据え置くことを決めたほか、新たな追加緩和が示唆された。ただ、一部で追加緩和の期待はあるものの、QE2で米国債6,000億ドルを買い入れた効果は見られず、米経済成長の鈍化は鮮明になっている。FRBの中でさえ連銀総裁達を中心にQE3には慎重な声が多い。さらにQE2は失敗したとのFRBへの指摘も多く、QE3へのハードルは高いものとなっている。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国を史上初めて格下げし、株式相場はピークからの下落も激しい。
早期のQE3実施を示唆する発言の可能性は低いと見ている。さらに、デフレリスク懸念も少ないとの見方を示すようであれば、追加緩和への消極的な姿勢と受け止められ、株式市場は下落し、投資家のリスク回避姿勢を強めることになると思われる。ドル円では、先週末に1ドル=75円95銭の史上最安値を付けたが、今週末もまた、その更新の可能性が見え隠れする。
欧州でも、株価とともに債券市場に用心しなければならない。スペインやイタリアの10年債利回りがともに4%台後半と比較的落ち着いているが、欧州中央銀行(ECB)による債券買い入れの影響である。ECBの買い入れ減少(19日終了週の決済額は143億ユーロと、前週の220億ユーロから減少している)や、ギリシャ支援融資に対する担保差し入れ議論の再燃からスペインやイタリアの国債利回りが上昇しはじめると、欧州の財政問題への懸念も再燃し、一段と投資家のリスク回避姿勢を強めることになる。
以上のような米景気の減速や欧州の債務危機を背景に、世界の経済成長が低迷するとの懸念の高まりは、円に資金を逃避させる動きが拡大することになる。また、日本政府や日銀の円売り介入への過剰な期待は、当てにできないと考えている。
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豪6月小売売上高
オーストラリアの6月小売上高は前月比0.4%増を予想する。前回5月が0.6%減と昨年10月以来の下落率を記録した反動や公共料金の上昇が予想していたほど影響していないとの見方があげられる。
米7月ADP雇用統計
米国の6月ADP全米雇用報告の民間部門の雇用者数は前月比で10万件と予想する。米4−6月期の実質国内総生産(GDP)速報値が低下し、米景気の減速が示された。企業は雇用の採用枠を縮小したと思われる。前回(5月)の15.7万件を大幅に下回る弱い結果になると見ている。
米7月ISM非製造業景況指数
米国の7月ISM非製造業景況指数は53.7と予想する。7月の製造業活動は低下を示した。中国などの持続的な需要や、日本の震災後の部品の納入が再開されたことが支援となるものの、個人消費の低迷や雇用の伸び悩みが成長を抑えられると見ている。この指標では、50を超える水準が活動の拡大を示唆する。
欧州中央銀行(ECB)政策金利
欧州中央銀行(ECB)定例理事会の金融政策決定会合では、政策金利であるレポ金利を1.50%に据え置くと予想する。前回のECB理事会で公表した来年のインフレ予想が、今年を下回ってECBが目標とする2%弱に落ち着く見込みとされたため、来年にかけての合計利上げ幅がそれほど大きくないかもしれないとの見方がある。また、欧米の財政問題が景気回復の足かせとなりソブリン債危機を悪化させるリスクもある。先月末に発表された7月の消費者物価指数・速報値でも、前回や市場予想を下回り2.5%に低下しており、追加利上げを急ぐ理由は後退している。そのため今回は据え置きと見ている。
日本銀行(BOJ)金融政策決定会合
日銀の金融政策決定会合では、政策金利を据え置くと予想する。円高地合いが続く事を背景に、日銀の対応を求める声が強まる可能性があるが、日銀には為替相場に影響を与える政策手段が残されていない。日銀が為替相場に影響を与えることが出来るのは、金利を通じてであり、既に金利がゼロの状態で資金を供給しても、供給された資金は銀行の当座預金に止まるだけであり、円安方向に寄与する可能性は低い。ただし、大幅な円高が続いて株価が下落する場合は、景気への悪影響を考慮し、日銀は追加措置に踏み切らざるをえなくなるだろう(資産買入れ)。為替市場では、日銀の介入期待が高まろう。
米7月雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)
米国の7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が8.5万件、失業率が9.2%と予想する。7月の米債務上限引き上げ協議懸念や消費支出の鈍化で雇用者数が伸びないと見ている。ただ、雇用者数の増加が失業率を押し下げるには不十分と見ており、雇用不足が消費支出の一段の低下につながることから、米景気低迷のリスクを高める可能性がある。米政局の混迷や財政問題がドルの上値を抑えていることから、米雇用統計が悪化した場合の下落リスクには要注意となろう。